Teacher’s Voice|eスポーツ×教育に取り組む先生たち Vol.1

〜「Teacher’s Voice」の趣旨〜

 

このインタビュー企画では、実際にeスポーツ部顧問として教育活動に取り組んでいらっしゃる先生方にお話をお聞きし、リアルな声をコラムとしてお届けすることで、これからeスポーツを部活として取り入れたいと考えている先生、教育関係者様のサポートになるようにということで始まりました。

記念すべき第1回目は、私立朋優学院高等学校の岸波先生にお話をお聞きしました。

Q. 自己紹介をお願いいたします。

朋優学院高等学校、eスポーツ部顧問の岸波と申します。

Q. eスポーツ部について教えてください。

本校のeスポーツ部は2018年の10月に創部されました。その後、同好会、サークルといった順を経まして、2020年から部活動として活動を始めております。

現在、1年生と2年生で部員が6名おり、リーグオブレジェンドを中心に活動をしております。なお、今いる部員6名とも本校に入ってからリーグオブレジェンドを始めました。

Q.部を運営していく上で、何かルールは設けていますか?

特にプレイの時間などで制限をかけていないのですが、定期試験で赤点を取ったり、提出物が出ていない場合はそちら優先で、きちんと終わった後に、また部活に参加してもらうようにしています。

Q.どのくらいの期間、部活に参加できなくなるのでしょうか?

本校の場合、赤点を取ると課題が出されます。

その課題を終えて、その教科の担当の先生に受理されたら参加して良いことになっているので最速であれば、1日で参加できますし、提出しないといつまでも参加できないという風になりますね。

 

終わりさえすれば参加してよいとしているので、本当に参加したければ、しっかりやってくれると思いますし、そもそもそういう制限がかからないようにテスト勉強をして試験に臨んでくれていると思いますね。

Q.ルールはどのように決めたのでしょうか?

基本的には本校のどの部活動も同じルール設定をしているので、eスポーツ部を設立したときに、それにならってルールを決めるよ、と私から生徒に提示しましたね。

Q.生徒から反発はありましたか?

なかったです。自分たちがちゃんとすれば大丈夫なのだと認識してくれていたんだと思います。

Q. 保護者の方の中には、eスポーツにあまり好意的でない方もいるというお話を聞いたことがあるのですが、実際はどうでしょうか?

保護者の方と直接お話したことはあまりないのですが、少なくとも、生徒には入部する際に保護者の方に許可を取ってから入るように伝えてあるので、現時点では、好意的、または前向きに応援してくれているのではないかと思います。

また、成績についても問題なく、勉学も頑張っていますので、きちんと両立ができているのであれば良いと考えてらっしゃるのではないかと思っています。

Q. 生徒の活動を顧問として見てらっしゃる中で、課題に感じていることはありますか?

2つあります。

1つめは、うまくいっている時は問題ないのですが、負けていたり、うまくいかなかった時のメンタルコントロールに少し課題があるかと思います。

2つめは、5人で連携をとってプレイをするタイトルなので、なかなか自分の意志や、次どうしていくかという意思決定など、発信が自主的に行えない生徒もいます。

そこをもう少し積極的になれるといいかと思っています。

 

技術に関しては、個人練習でも習得できますが、やはり「部活動」ですので、部員同士が連携を取って活動することが大切で、部の活動を通して、コミュニケーションや意思決定の部分がより育ってくれるといいなと思っています。

Q.eスポーツ部の活動は、生徒にどんな影響、変化をもたらしますか?

1年生の時は上級生の指示に頼っていた部分がありましたが、上の学年が引退して、今度は自分たちで1年生を引っ張っていくという意識が感じられるようになりました。

自分たちでどういうゲームを組み立てていきたいかというのをより考えて、発信できるようになりましたね。

Q.eスポーツ部の男女比は?

現在は6名中5名が男子生徒で、1名が女子生徒です。

Q.eスポーツにおいて性別での差や壁を感じる部分はありますか?

男女の差というのは特に無いと思います。

むしろ、eスポーツはそういう差の少ない競技の1つだと思います。

Q.「ゲーム」と「eスポーツ」の違いってなんでしょうか?

僕個人としては「ゲーム」と「部活動」の相性は悪いと思っているんですけれども、「eスポーツ」と「部活動」の相性はいいと思っているんです。

特に、リーグオブレジェンドは5人でのチームプレイですので、そこを育んでいく部活動と、非常に親和性が高いと思っています。

Q. 部を引退された生徒さんの進路は?

基本的には、大学に進学する生徒がほとんどです。進学先の大学でリーグオブレジェンドのサークルに入ったり、大学の友人同士でリーグオブレジェンドをプレイしていると聞いています。大学にいってもeスポーツになじみながら楽しんでいるんじゃないかと思います。

Q.朋優学院eスポーツ部として、子供たちに求めることはなんでしょうか?

部活動としてしてやっている以上はただ楽しくやって終わりではなく、周りとコミュニケーションをとって一緒に上達したり、勝負に勝ったりする経験を得られる場であって欲しいですし、本人達にもそういった面を自覚しながら3年間の高校生活をeスポーツと共に楽しんで過ごしてもらいたいと思っております。

朋優学院高等学校

https://www.ho-yu.ed.jp/