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子どもたちにとってのeスポーツの授業〜星槎国際高校eスポーツゼミの取り組み〜

2021年3月20日に日本では初となる「NASEF JAPAN 国際教育eスポーツサミット 2021」が開催されました。

今回は実施された3つのセミナーのなかから、星槎国際高等学校帯広学習センターでeスポーツゼミを担当する大橋紘一郎教諭の「eスポーツを通じた教育現場の今」の模様をお伝えします。

子どもたちにとってeスポーツの授業とは何だったのか

まず大橋教諭は、授業でeスポーツを活用するなかで発見した5つの事柄を挙げました。

授業でeスポーツを活用するなかで発見した5つの事柄

これらの事柄で「持っている力の発掘・強化」や「生涯にわたる学び」などは、大人からの目線であり、eスポーツの現場でもよく語られることです。

 

大橋教諭は「居場所」や「青春」といった子どもからの目線に着目し、「子どもたちにとってeスポーツの授業とは何だったのか」について確認し始めました。

 

実際に生徒たちへ聞き取りをしてみると、多くの生徒が授業のなかで毎週実施していた「ゲームの紹介プレゼンテーション」をキーワードにしました。この授業が多くの生徒の変化につながり、ある生徒は「プレゼンを経験することによって活動的になり、過去の何もしなかった自分を省みるきっかけになった」といいます。

 

また、ある生徒からは「eスポーツゼミは体を動かすことが苦手な人でも、ゲームが好きであれば自己表現ができる」という意見も上がりました。

 

大橋教諭は「eスポーツの授業とは何だったのか」の答えとして、ある生徒の「eスポーツは人生を変えるきっかけだった」という言葉を紹介します。その生徒は「人が苦手でずっと一人でゲームをやっていたけれど、eスポーツゼミを通して友達ができ、学校が楽しくなった」と、学校生活のみならず人生まで変わったと授業を振り返りました。

eスポーツを通じた教育現場の今

〈eスポーツゼミの人数〉

星槎国際高等学校のeスポーツゼミの人数は、2018年発足時は30人でしたが、2020年には60人にまで増加。全校生徒が180人なので、生徒の3人に1人が加入する人気のゼミとなっています。

〈主な授業内容〉

・ゲームの紹介プレゼンテーション

・ゲーム紹介の記事作り(十勝毎日新聞掲載)

・大会参加

・大会や体験会の企画、運営(ゼミ内、地域向け)

・eスポーツの研究と発表会

今回のセミナーでは「大会や体験会の企画、運営」と「eスポーツの研究と発表会」が紹介されました。

 

「大会や体験会の企画、運営」は学外でも活動しており、「十勝eスポーツプロジェクト」として実施されています。地域のイベントへの出店やeスポーツイベントの開催協力、市民スペースでのオフ会企画など、在校生と卒業生が連携して企画・運営を行っています。大橋教諭は「個人的な体験をきっかけに、地域振興や課題解決へ広がっている」と紹介しました。

 

「eスポーツの研究と発表会」は一年間の総括で、テーマはeスポーツにまつわることであれば自由。これまで様々なテーマが発表されており、以下のように分類されます。

・個人的なeスポーツ体験談

・学校での活動報告

・eスポーツ考察、調査

・大会運営のノウハウ

・ゼミに関して

・eスポーツの周辺にまつわること

 

なかでも大橋教諭は「eスポーツの周辺にまつわること」を取り上げ、「eスポーツ男子の服装について」や「休憩とモチベーションの高さ」といった発表の模様を紹介しました。

 

最後に大橋教諭は「教師は『生徒の幸せ、生徒がどうしたら楽しめるか』を考えて、いろいろなことを行います。それが今回はeスポーツでした。目的はあくまで教育であり、きらめきをわかち合うことです」と語ります。

 

続けて現在のeスポーツの流行について「大好きなゲームの力を借りて『生きるって面白くて楽しい』『世界はキラキラして美しい』ということをわかちあうチャンスだと思っています」と評して、セミナーの結びとしました。