プロマインクラフター タツナミシュウイチ氏 常葉大学で講義 マイクラを使って社会貢献や教育現場で役立つワールドを学生らが制作、発表
7月25日(木)に常葉大学瀬名キャンパス(静岡県静岡市)にて、Minecraftを活用した講義の最終発表が行なわれた。
講師を務めるのは日本初のプロマインクラフターでMicrosoft認定教育イノベーターなど多くの肩書を持つタツナミシュウイチ氏。2023年4月より、『マインクラフト造形学(デジタル表現A・B)』の講師に就任し、Minecraftを教材として使用する講義を約15週にわたり担当した。
タツナミ氏とは、3月にNASEF JAPANが主催した『第4回国際eスポーツサミット』にて対談していただいた経緯があり、NASEF JAPANとしてはこれからMinecraft教育を広げていきたいと考えているため、後学として本講義最終発表にお邪魔した次第である。
本講義はMinecraftをプラットフォームとしてインプット、ビルディング、アウトプットの知識や経験、理解度を高めることを目標に構成。
インプットは制作物の設計内容やスケジュール、作業分担のマネジメントができているかどうか。
ビルディングは構想をもとに実際の造形物を実際にワールド内で制作。インプットの段階で緻密に練られた構想や詳細な設計図を準備することで、クオリティの高い作品へとつながる。
そして最後にアウトプット。制作途中の写真や資料をもとにプレゼンテーションを行ない、作品の趣旨や制作物に込められた思いなどを限られた時間内で簡潔に、いかにわかりやすく伝えることができるか技術が問われる。
この学部ならではのデザイン表現力の向上やデジタルネットワークサーバーやデジタル技術についての理解と活用などを目標到達地点として設定。ワールド制作は地域・社会貢献、教育問題、貧困・経済格差問題、紛争戦争、食糧問題、エネルギー問題などといった社会問題全般をテーマに、5チームに分かれて制作発表を実施した。それぞれのワールドをプレイするターゲットは小学校高学年とし、身近で取り組みやすいテーマの選択にも注目だ。
◇各チームのワールド
Aチーム
環境問題にフォーカスしたAチーム。海の生態系がマイクロプラスチックによって破壊され、それがいかに重大な問題でどう解決していくべきか考えさせられるワールドに。主人公が小さくなって魚の中に入り、環境問題の原因を調査。主人公ができることを見つけると、最後には魚を美味しく食べることができハッピーエンドに。未来の環境保全を考えるきっかけとなる内容だった。
Bチーム
Minecraftでできる社会貢献とは?をテーマに災害救助ボランティアに関する知識を深められるワールドを制作。災害が起きているワールドの中を探索しつつ、指定された収集物を集めていくなかで、災害に関する知識を得ていく。クイズ形式になっていて、すべて突破すると何やらメッセージが表示される仕組みに。
Cチーム
マイノリティを侮辱する行動や言動「マイクロアグレッション」をテーマとしたワールド。景観にもこだわりRPG風に仕上げることで感情移入しやすく、デリケートな問題こそ楽しく理解を深めてもらおうという配慮が印象的だ。心や内面の問題はMinecraftで表現しにくい部分であるがそれらが上手く表現されている。
Dチーム
人による環境破壊が地球温暖化につながり、最終的にはで水没都市になってしまったワールド。クイズ形式で出される選択肢をクリアしていくと水没している都市の水位が下がり、間違えると方舟内の水槽で溺死してしまうというゲーム性に。すぐに使える環境豆知識など子供にもわかりやすく実践しやすい内容に。
Eチーム
わらしべ長者をモチーフにした歴史を学べるワールド。現存する建築物などをワールドに再現し、素晴らしい景観がひときわ目を引く。村人と物々交換を繰り返すことで江戸時代の暮らしを体験していくことが可能。歴史を学ぶ=文化活動を体験することで多面的に物事を捉える力を身に着け、社会貢献につなげてほしいという思いが込められている。
それぞれのワールドはコマンドを用いており、プレイヤーがアクションを起こすとワールド内に反映され、クイズの解答が正解、不正解で異なる展開が用意されているなど、ゲーム性を持たせているので小学生も楽しくプレイすることが可能。また、各チームのワールドに共通する点としてMinecraftを通して様々な知識を深め、学ぶことができる内容になっていた。今回制作したワールドは、後日配信予定とのことなので、ぜひプレイしていただきたい。
現在NASEF JAPANもMinecraftを活用した教材を鋭意制作中だが、今回この講義を視察させていただき、大変な刺激を受けた。NASEF JAPANでも生徒たちがワクワクし、楽しみながら学べるMinecraft教材を作っていきたいと考えている。