COLUMN

2021.10.08

中学生のうちからeスポーツを体験する意義 マルコ・フォースター中学校の事例

アメリカではすでに、中学校でもeスポーツの導入が始まっています。幼いうちからゲームに触れることをよしとしない風潮もありますが、NASEFフェロー教員であるジェニー・ゴンザレスは「子どもたちがこの道に入るのが早ければ早いほど、良い準備ができるでしょう」と言います。

 

今回はジェニーの手記から、中学校でeスポーツクラブやNASEFのプログラムを導入する意義をお伝えします。

コロナ禍をきっかけにeスポーツチームが発足

ジェニーはマルコ・フォースター中学校で、物理と化学の教師としてキャリアをスタートさせました。

 

彼女は生徒を惹きつけつつ学習意欲を高める、新しい方法の必要性を感じており、放課後に活動するロボットチームを作りました。長年ロボットチームを指導するなかで、生徒たちは共通して「ゲームに情熱を注いでいる」と気づきました。

 

そして新型コロナウイルス感染拡大の影響によってロボット競技会が中断されたことをきっかけに、ジェニーはeスポーツチームのコーチを務めることになります。

 

彼女は中学校のキャリア・テクニカル・エデュケーション(CTE)の教師として、またNASEFフェロー教員として、中学校から高校のeスポーツへの経路を作ることを目標として定めました。

NASEFの行動規範の導入

eスポーツクラブを立ち上げると発表すると、すぐに50人以上の生徒が登録しました。

 

生徒たちはパソコンで『Minecraft』をプレイし始めましたが、すぐにある生徒が「ゲーム内で作るための備品が盗まれた」と憤慨し始めました。これは仮想空間で対立を解決するという、初めての学習機会となりました。

 

オンラインゲームの世界では、プレイヤーがニックネームを使うことが多く、匿名性が高まります。そのため、ハラスメントや不適切なプレイ・会話が起きやすいと指摘されます。

 

ジェニーはまず、NASEFの行動規範をインタラクティブな授業に取り入れ、「ゲーマーが安全な環境でプレイするためにはどうすればよいか」をテーマとしました。

 

ルールを守らなかったり、他人に敬意を払わなかったりした場合、どのような落とし穴があるのかについて話し合い、チームビルディングやフェアプレイ/アンフェアプレイを学ぶきっかけとなりました。

 

NASEFでは教育関係者をサポートするために、学内のeスポーツプログラムを運営する際の成功例や失敗例について、関係者同士がコミュニケーションをとれるような環境を整えています。

 

行動規範をクラブの基盤として導入することで、コミュニティを築き、多様性を受け入れ、尊敬の念を育むことに注力できます。また、ゲーム内でも、より広いコミュニティでも、前向きな行動を促す健全な環境を作るのにも役立ちます。

中学校におけるeスポーツ活動の意義

中学・高校で行うチームスポーツによって、生徒はフェアプレーやチームワーク、スポーツマンシップを学びます。

 

その一例として、ジェニーの生徒たちは現在、4つの州の47チーム以上が参加する「Northern California esports League(NCEL)Western Regional Middle School esports Conference」に参加しています。

 

生徒たちは他のチームと対戦する機会を得るだけでなく、ポジティブなスポーツマンシップや健康的なバランス、負けたときのマインドセットの重要性を大切にしながら活動しています。

 

競技には常に勝者と敗者が存在します。生徒には、健全な交流をサポートするツールと、戦略を身につけさせる必要性があります。eスポーツは生徒のゲームとの関わり方を変える絶好の機会なのです。

 

eスポーツ業界が成長を続けるなかで、ゲーマーは20歳という若さでセレブリティの地位を獲得しています。国内の大学は数百万ドルの奨学金を提供し、eスポーツを教えるための環境を整えています。

 

こうした現状のなかでは、早いうちからeスポーツとの関わり方を学ぶことこそ、より良いプレイ環境と健全な精神の構築につながるのではないでしょうか。

 

いま中学校におけるeスポーツの可能性は、多くの学校や地区が教育ツールとして受け入れることで急速に高まっています。生徒たちはeスポーツを純粋に楽しみながら、STEAMやグラフィックデザイン、ゲーム開発、シャウトキャスティング、コミュニティ構築、ソーシャルスキルなどを獲得しています。

 

 

ジェニー・ゴンザレスについて

 

カリフォルニア州カピストラーノ地区マルコ・フォースター中学校選択科目教師として、15年目を迎える。過去には、イルカの調教師、ハリウッドの特殊効果のメイクアップアーティスト、海洋哺乳類のレスキュー隊員など、多彩な職歴を持つ。授業の内容もロボット工学やテックラボ、海洋学など多岐にわたる。